仕事において、泥臭くやる必要があるときは多々ある。ここで言う「泥臭くやる」とは、短い期間でそれなりの成果を出すために、自動化や仕組み化などを後回しにして、まずは手動で地道に作業を進めることを指す。これは、とにかくすべてを捨ててでもスピードが求められる初期段階などでは有効な手段となる。
一方で、泥臭くやり続けることは避けなければならない。例えば、サービスを早くリリースすることを優先して手動でのリリース作業から始めたものの、それが常態化し、いつまでも手動リリースを続けてしまうようなケースは、「泥臭くやり続けている」典型的な例と言える。
ここで思い出したのがプログラマーの三大美徳と言われる「怠惰*1・短気・傲慢」である。もし、泥臭くやり続けることを「勤勉」と捉えるならば、その対極にあるのは、三大美徳の一つである「怠惰」と言えるかもしれない。ここでの怠惰とは何も考えずにやるべきことをやらないというわけではない。未来の自分を含む他者が楽をするためにより効率的な方法を模索し、自動化や仕組み化を進める原動力となるのがこの「怠惰」の精神である。
また、10Xには「運営自律性」という考え方がある。この特性は、パートナーが何かを実現したいと考えた際に、10XのBizDevやソフトウェアエンジニアなどの手を介さずに、パートナー自身が自律的にそれを達成できるかどうかを示す。例えば、パートナーが何か新しい設定を試したいと思った時に、その都度10Xのメンバーが設定ファイルを書き換えたり、ソフトウェアをデプロイしたりする必要がある状態は、運営自律性が低い。運営自律性を高めるためには、自動化や仕組み化などが必要になっていく。逆にいえば、10Xメンバーが怠惰の精神を持っていないのであれば、運営自律性はずっと低いままだろう。
これらのことを踏まえると、日々の業務において発生する泥臭い作業は今あえてやっているのか、勤勉さゆえにやっているのか考えて働くことが非常に重要だと思える。そしてそのためには怠惰であることが重要なのだろうと思う。
*1:怠惰としているが、怠慢、無精など色んな訳があった。自分的に語感がいいのを選んだ